ローリングストックをスムーズに始めるための買い物リスト作成術:買うべきものと量の決め方
食料備蓄の重要性は理解しているものの、「実際に何から始めたら良いのか」「どれくらいの量が必要なのか」と迷われる方は少なくありません。特にローリングストックは「いつもの食料を少し多めに購入し、使った分を買い足す」というサイクルですが、最初の「買う」段階でつまずくこともあるかと存じます。
この記事では、ローリングストックをスムーズに始めるための具体的な買い物リストの作成方法に焦点を当てます。どのような視点で品目を選び、一人暮らしの場合どれくらいの量を目標にすれば良いのか、具体的な目安と共にご紹介いたします。
なぜローリングストックに買い物リストが必要なのか
備蓄を始める際、漠然と「何か買っておこう」と考えるだけでは、必要なものが揃わなかったり、逆に不要なものを買いすぎてしまったりする可能性があります。また、せっかく備蓄しても、普段の食生活と関連性が低いと、期限切れを起こしてしまうリスクも高まります。
ローリングストックは、「普段の食生活の延長線上に備蓄を置く」という考え方です。この考え方に基づいた買い物リストを作成することで、以下のメリットが得られます。
- 必要なものを計画的に揃えられる: 最低限備えたい品目を明確にし、買い忘れを防ぎます。
- 無駄な買い物を減らせる: 重複購入や、結局使わない品の購入を防ぎます。
- ローリングストックのサイクルを回しやすくなる: 普段から消費するものをリスト化することで、「使ったら買い足す」という習慣が自然と身につきます。
- 備蓄状況を把握しやすくなる: リストと実際の備蓄品を照らし合わせることで、何が不足しているか、何が余っているかが見えやすくなります。
つまり、買い物リストは、ローリングストックを計画的に、そして無駄なく続けるための最初の、そして最も重要な一歩と言えます。
買い物リスト作成の基本ステップ
ローリングストックのための買い物リスト作成は、以下のステップで進めることができます。
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「備えたい日数」と「現在の食生活」を考える:
- まずは、最低限どのくらいの期間を乗り切ることを目標とするか決めます。多くの場合、まずは3日分の備蓄を目指すのが現実的で始めやすい目標です。慣れてきたら1週間分と広げていくことができます。
- 次に、普段ご自身がどのようなものを食べているかを振り返ります。主食は米かパンか麺か、よく食べるおかず、飲み物、おやつなどを思い浮かべます。ローリングストックでは、普段から食べ慣れているものを選ぶことが重要です。
- 災害発生時など、電気・ガス・水道が使えない状況も想定し、「そのまま食べられるもの」や「水やお湯があれば食べられるもの」を優先的に考えます。
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カテゴリ別に必要なものを洗い出す:
- 洗い出した普段の食生活や災害時の状況を考慮し、以下のカテゴリで具体的な品目をリストアップします。
- 主食: ごはん(パックごはん、無洗米)、パン(ロングライフパン)、麺類(カップ麺、乾麺)、シリアルなど
- タンパク質: 魚の缶詰、肉の缶詰、レトルト食品(カレー、丼もの)、フリーズドライ食品など
- 野菜・果物: 野菜ジュース、フルーツ缶、乾燥野菜など
- 水分: 飲料水
- その他: 調味料(醤油、味噌、砂糖など)、お菓子、栄養補助食品、嗜好品(コーヒー、お茶など)
- 洗い出した普段の食生活や災害時の状況を考慮し、以下のカテゴリで具体的な品目をリストアップします。
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「最低限備えたい量」の目安を決める(一人暮らしの場合):
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洗い出した品目に対し、目標日数分の量を考えます。ここでは、一人暮らしの3日分を想定した目安をご紹介します。
- 飲料水: 1人1日3リットルが目安とされますので、3日分で9リットル。ただし、調理や衛生にも水は必要になるため、少し多めに準備することも検討できます。
- 主食: 1日3食として、3日分で9食分。パックごはん9個、またはカップ麺9個など。普段食べる主食に合わせて選びます。
- タンパク質・おかず: 1日3食として、3日分で9食分。缶詰、レトルト、フリーズドライなどを組み合わせて9食分用意します。普段の食事で食べやすいものを選びます。
- 野菜・果物: 3日分として、野菜ジュース(1リットルパックや200mlパック数本)、フルーツ缶(1〜2缶)など。
- その他: 普段使っている調味料のストック、お菓子(気分転換用)、栄養補助食品(ゼリー飲料など)。
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これはあくまで目安です。ご自身の食欲や、どのような状況を想定するかによって調整してください。最初から完璧を目指す必要はありません。
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買い物リストを作成・可視化する:
- ステップ2と3で洗い出した品目と量の目安を、紙やスマートフォンのメモ機能、アプリなどにリストとしてまとめます。
- 「購入済み」や「不足」などが一目でわかるように工夫すると、今後の管理がしやすくなります。
ローリングストックを意識した「賢い買い物」のポイント
リストができたら、いよいよ買い物です。ローリングストックをスムーズに行うために、以下の点を意識してみてください。
- 一度に全て揃えようとしない: 最初からリストの全てを揃えようとすると、負担が大きく感じるかもしれません。まずは飲料水と主食、おかずを数日分揃えるなど、優先順位を決めて段階的に購入することをお勧めします。
- 普段の買い物に「備蓄用」を少し足す: いつものスーパーやコンビニでの買い物時に、リストにある品目を「備蓄用」として1〜2個余分に購入することから始めます。これにより、特別な手間なく備蓄を積み重ねることができます。
- 賞味期限・消費期限を確認する: 購入時は必ず日付を確認し、より期限が長いものを選びます。
- 保管場所を考慮する: 購入する前に、自宅のどこに保管するかを考えておくと、買いすぎや保管場所がないといった問題を避けられます。一人暮らしの場合、収納スペースが限られることが多いため、コンパクトなものを選ぶことも重要です。
買い物リストの見直しと継続のコツ
作成した買い物リストは一度作って終わりではありません。ローリングストックを続けるためには、定期的な見直しと活用が重要です。
- 備蓄品のチェックと連動させる: 定期的に(例えば月に一度など)備蓄品を確認する際に、買い物リストも合わせて見直します。消費したものをリストから外し、不足しているものをリストに追加します。
- 食生活の変化に合わせて更新する: 引っ越しや転職、食の好みの変化など、ご自身のライフスタイルや食生活が変わった場合は、リストの内容も見直しましょう。
- 買い物に行く前にリストを確認する習慣をつける: これにより、無計画な買い物を防ぎ、効率的にローリングストックを進めることができます。
まとめ
ローリングストックは、特別なことではなく、普段の生活の中で無理なく備えを築いていく賢い方法です。その第一歩として、ご自身の状況に合った買い物リストを作成することは、備蓄の成功に大きく貢献します。
まずは3日分からでも構いません。この記事でご紹介したステップを参考に、具体的な品目と量をリスト化し、いつもの買い物で少しずつ揃えてみてください。計画的に備えることで、万が一の事態にも落ち着いて対応できる自信につながることでしょう。
この情報が、あなたのローリングストック実践の一助となれば幸いです。